なんとなく

上で「あかねさす〜」なんて引っ張り出したらつい懐かしくて色々ググってみたり。
「あかねさす 紫野ゆき 標野ゆき 野守は見ずや君が袖振る」(額田王) これへの返歌が
「むらさきのにほへる妹を憎くあらば 人妻ゆゑにわれ恋ひめやも」(大海人皇子)なのだけど。


これだけを見て、スキャンダラスな不倫の歌と言われるてしまう。
実際あちらこちらのサイトでその手の文章も見かける。
けど。
額田王大海人皇子は結婚して子供もいたのに、大海人皇子の兄、中大兄皇子に奪われているんだよね。
これを聞くと、不倫っつうよりは、悲恋的な意味にとれる。
そしてさらに。
この歌、実は大海人皇子に送られたものではなく、宴会でみんなの前で歌われたものらしい。

こうなると芳しい秘密めいた匂いが一切なくなり、こんな説まである。

「これは深刻なやりとりではない。おそらく宴会の乱酔に、天武が武骨な舞を舞った、その袖のふりかたを恋愛の意思表示とみたてて、才女の額田王がからかいかけた。どう少なく見積もっても、この時すでに四十歳になろうとしている額田王に対して、天武もさるもの、『にほへる妹』などと、しっぺい返しをしたのである」


不倫どころかさ、悲恋どころかさ、仲悪〜???(ーー;)。
何か、甲斐性無しな元夫を嘲ってるように聞こえてしまうのは私の気のせいでしょうか?(笑)
あ、天武は大海人皇子の事ね。


同じ言葉でも背景が変われば様相が変わるっていうのはミステリの手法のひとつだけど。
古典・歴史の研究なんてまさに、新しい事実が見つかる度に論説が引っくり返される、その連続なんだろうね。
ミステリなら私の最も好きなパターンなのだけど、研究者は大変だぁ(笑)。