イニシエーション・ラブ

文庫に落ちたので、噂に高い「イニシエーション・ラブ」(乾くるみ)読みました。
……まったく騙されませんでした。
 
以下ネタばれです。




いや、だってさ、これって女性は結構ピンと来ませんでした?
本命隠しているのはバレバレだし。
処●(検索よけ)じゃないと思わせる描写もあったし(苦笑)。
アプローチが巧みで、かけひき上手で、しかも逆光源氏思考。
そこまで分かっていて、そこが可愛いと思っているならともかく。
完全に、幻想の世界のマユに惚れてるもんなぁ、夕樹は。


なーんて思いながらA面を読んでいたせいか。


最初は多少疑いつつも。
ははーん、これがその本命かぁ。これがあの時してたルビーなわけね。
なんて、まあ普通に読み始めちゃいました。
しかも。
友人に「きっとこうなんだろうなぁ、騙されないぞと思いながら読んでいたら、ええ!! ってなった」と聞いていたから。
鈴木が2人いて時間軸が同じでっていうのが、レッドヘリングだと思っしまって。
それに惑わされると、うっかり見落としかねない何かがあるんじゃないかと、そらもうワクワク。


鈴木だけじゃなく、実は「なるおかまゆこ」ももう1人いるのか? とか。
時間軸が同じと見せかけて、実は親の世代だったり? とか。


だから最後の2行を読んだ時。
うん、それは分かってる。で? だから? ………ねぇ、だから????
………。
と、なってしまった自分をどうしてくれるっ!!!


これで終わり? ホントに?
いやいや、違う。違う。
まだもう2ページあるんだ、きっとそうだ。うん、そうに決まってる。
バッ。
と次ページを開いた時の悲しさといったらっっ。


いやいや、単に私が読み違えていて、本当はもっと大きなドンデン返しがあるのに、それを理解出来てないだけなんだ。と、解説を読み、ネットで感想を漁り……。


おお、確かに気づかなかったよ。ここまでたくさんの伏線がある事には。
A面とB面の意味とかね。すごっ、と思ったさ。
ホテルの予約とか。おおそうだったか。上手いよなぁ。
いやぁ、リストまで作った人ホントすごい。ありがとう。
おかげですっきり全て把握できたよっ。
うん。そう思ってます。思ってます。けど。


衝撃は???  ねぇ、ラスト2行の衝撃はどこ????


あ、そういえば。
なまもの!」の大矢さんが書評で、辰也だって同じ事をしているのに、女性がやると「女こわっ」と思われるのは理不尽だっ。というような事を書かれていて。
そうだよねー。うんうん、と心底頷いたのだけど。
一箇所、これは、確かに怖い。
「二度目の相手もたっくん、三度目の相手もたっくん。これからずっと、死ぬまで相手はたっくん一人」って台詞。
………女こわ、ではなくて。繭子、確かにそれはちょっと怖いぞ。