スイス時計

前回保留にしていた、ロジックについてです。
いつまでも引っ張る内容じゃないですよねぇ。遅くなってすみません。
ここまで待たせてこの程度かって思われてもまあ、それはそれってことで。
以下、コメントを含めてネタバレです。
三隅が腕時計にマークを刻んでいた場合でもロジックは成り立つか。
可能です。
その1。裏シースルータイプの時計は実際こんな感じです。
http://www.beyes.jp/shop/fathersgarden/718366.php
http://www.kanshin.com/keyword/540726
http://item.rakuten.co.jp/bluek3/3573-50/
http://store.yahoo.co.jp/bellmart/tam649sb.html
マークなんて無理だろう。という物理的な問題。
総じてフレーム部分は山なりだったりと、平坦な部分が少ないので私は無理かなぁとか、単純なマークしか削れないと踏んでいたのですが。
monstre-xさんに「彫り込めるスペースもありそう」と書かれてしまい…。
うーむ、見解の相違が。
ということで。
その2
実話から。
私はフラメンコを習っていまして、パリージョ(カスタネット)は必需品で入門するとまず最初に買わされます。この時先生に必ずこう言われます。
「他人のものと区別が付かなくなるので、イニシャルでもいいから名前を書きなさい。ただしマークは不可」
さて何故、マークは不可なのか。
例えば。
置き忘れのパリージョにカエルのマークのシールが貼ってありました。
それを見て果たして誰のか分かりますか?
「誰か私のカエルマークのシールが貼ってあるパリージョ知らない?」
そんな自己申告があるまで決して誰のか分からないんです。
ですからXが。
「あ、それ落し物? 私のだわ」と言ってしまえばもうそれはXのものです。
あとから「そのカエルマーク私のだわ」と言った処で後の祭り。
そのカエルマークが本来の持ち主Yのものであると証明出来るものはありません。
もしYがあらかじめ誰かに「こんなシール貼ったの」と見せていない限りは。

そう。つまりマークというものは指向性を持たず、
所有者が申告しなければ誰にもそのマークが誰をさすかなど分からないもの、なんです。

例え三隅が時計の裏に○と△で作った幾何学模様を入れていたとしても、
誰もそれを見ていない以上、三隅が入れたなんて誰にもばれやしません。
「村越の奴、こんなマークいれてたのか」でおしまいです。
よしんば指向性のあるマークだったとしても。
例えば○にMあるいは、○にK。イニシャルなら村越の時計と取り替える事は可能です。
例えば○に三。もしはっきり「三」と分かるような出来ならば、ナイフで一本線でも増やすもよし。もし「三」と分からない下手くそな出来なら放っておいても大丈夫。
○に和。そんなものが書けるくらいならもとからイニシャルなだという極めて単純且つ作業の簡単なものを書いたりはしていないでしょう。
例えば高校時代、三隅は自分のものに必ずあるマークを入れていたとしたら?
「なんだこいつ。俺のマーク真似してたのか?」でおしまいです。

その3
そもそも、砕けたガラスの粉があり、ガラスの割れた腕時計を被害者がしている。
それは殺害現場としてありきたりな風景です。
被害者の洋服のポケットの中はあさっても、タグに縫い取られたマークなんて警察は気にするだろうか?
腕時計だって同じでしょう。殺害時についた傷でないのであれば被害者にはこんな趣味があったのか、でおしまい。
村越が時計にイニシャルをいれたかどうか正確に知っているものはいない。
ならば。もし警察に聞かれたらこう答えればいい。
「ええ、そんなマークを入れたと前に聞いたような気がします」
本人が死んでいる以上、その嘘がばれることはありません。

こんな感じでいかがでしょうか??